
こうした疑問にお答えします。
APYとAPRは似ているような文字ですが、異なる意味があります。DeFiで投資を行っていく上では、絶対必要な前提基礎知識なので、おさらいしておきましょう。
本記事の内容
- APYとAPRの違い
- DeFiでのイールドファーミングの考え方
- リスクを知ってファーミングする
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目次
APYとAPRの違い
PancakeSwapはAPY、AlpacaFinanceではAPY、APRの両方が表示されていたりします。
- APY:Annual Percentage Yield(年間利回り)
- APR:Annual Percentage Rate(年換算利回り)
APY:Annual Percentage Yield(年間利回り)
APYは、「1年間で”複利を考慮した”場合の年間収益率」を表します。
APR:Annual Percentage Rate(年換算利回り)
APRは、「1年間で”複利を考慮に入れない”場合の年間収益率」を表します。
文字だけでは、分かりにくいので具体例をみていきましょう。
APRをAPYにする専用のサイトを活用していきます。
APRが20%の場合
毎日、毎週、毎月、毎年、という各頻度で複利運用をしていくと仮定すると、以下のようなAPYに換算できます。
- Daily:22.13%
- Weekly:22.09%
- Monthly:21.94%
- Annually:20%
という具合に、複利運用していく頻度が高ければ利回りも良くなるということですね。元本に利回りを組み込む作業をcompounding:コンパウンディングと表現します。
ここで、IRON FinanceのAPYとAPRの表記をもとに考えてみましょう。
こちらは、ファーミング画面の表示です。
APRとAPYどちらの表記もあります。どちらもあり得ないほど大きな数字なので、「なんかとんでもない利回りが出そう…」で思考を止めないようにしていきましょう。
こちらが、実際にコンパウンドしたときに対応するAPYです。
若干の誤差はありますが、IRON FinanceのAPYはDailyであることがみえてきます。ちなみにほとんどのDeFiでのファーミングが「DailyでのAPY」を表示していると思っていいと思います。
ここから言えることは、DeFiの利回り回収は1日1回でも十分目的のAPYを出すことが可能であるということです。常にそわそわしてしまう人はこの点を把握しておくと安心できます。
また、DeFiではオートコンパウディング機能を提供しており、自分での作業を必要としないプロトコルも登場しています。以下の記事で詳しく紹介しています。興味のある方はチェックしてみてください。
DeFiでのイールドファーミングの考え方
そもそも、イールドファーミングってなに?という方に向けて整理していきます。
イールドファーミングとは、レンディングやDEXに仮想通貨を預けて、流動性を提供するリターンとして金利や手数料をもらうことができる仕組みのことです。
流動性を提供する、というのはAコインとBコインを交換する際に、自分が提供したコインの組み合わせのプールを利用してもらう、という意味です。
交換したい人がたまたま同じタイミングで「交換したい」ということを待っていると非効率的であり、ブロックチェーンの手数料の関係で無駄に手数料をかけてしまうという課題を解決することができます。
イールドファーミングで流動性を供給して、新規に別のトークンを報酬としてもらうことを「流動性マイニング」といいます。
リスクを知ってファーミングする
仮想通貨をペアにして預けるだけで利息収入が得られるイールドファーミングには、大きなリスクも存在しています。
その点を把握していきましょう。
リスク①:インパーマネントロス(IL:変動損失)
リスク②:スリッページ
リスク③:ハッキングや詐欺
リスク①:インパーマネントロス(IL:変動損失)
ILとは、「ある仮想通貨の流動性供給ペアを作ったあと、ペア作らないで持っていたときの方が価格が上昇した時よりも損をしてしまう」という損失です。
具体的な計算は、こちらの記事で紹介しています。
覚えておきたいことは、ボラリティの高い仮想通貨をペアにするとILが続出する、ということです。リスクを取りたいくないのであれば、単体ステーキングやステーブルコインのペアがおすすめです。
リスク②:スリッページ
スリッページ(slippage)とは、自分が注文した価格と実際に約定した価格に生じるずれのことを意味します
PancakeSwapなどのDEXで、スワップを行う際に下の方に小さく表示されています。
これは、値動きがリアルタイムで起きているからこそ、「不利な金額で約定されてしまう」というリスクです。
設定により極端に減らすことは可能です。しかし、この許容範囲を狭めてしまうとAMM(自動マーケットメーカー)による約定が成立しないということがあります。
リスク③:ハッキングや詐欺
スマートコントラクトは、プログラミング言語であるSolidityなどを使用して構築されたアルゴリズムとなっているプログラムです。
人間が作り出したものである以上、脆弱性が発生する余地があります。このウィークポイントを狙ってハッカーや開発元が、資金を持ち逃げしたりします。
コードが監査を受けているか?も重要ですが、実際は監査を受けていたプロジェクトでもハッキング被害にあったりします。
Attention Bunny Fam
Our project has suffered a flash loan attack from an outside exploiter.
We will be posting a post mortem, in depth analysis, but for the time being we would like to update the community as to how this happened.
— pancakebunny.finance (@PancakeBunnyFin) May 20, 2021
DEXなどは他のファーミングと接続して運用されていることもあります。その場合、他のファームのハッキング被害が自分のイールドファーミングに影響を及ぼすことも起こり得ます。
APYとAPRの違いとは?イールドファーミング:まとめ

APYとAPRの違い
イールドファーミングをしていく上で、重要なポイントである、「APYとAPRの違い」、「イールドファーミングとは」、「イールドファーミングのリスク」について、まとめてきました。
ぼくがよく確認するリスクヘッジのかんたんな方法を以下にまとめます。
- ドキュメントは整っているか?
- トークノミクスは納得できるか?
- TVLは上昇傾向か?
- TelegramやDiscordでの運営の態度は意欲的か?
- UIとUXまで行き届いているか?
この辺りを目安にしています。Twitterで情報感度の早い人からプロジェクト名などを仕入れてきて、自分で調べてみる、というかなり地道なことをしています…。
