今回は、あのバンクシーの作品を実際に燃やして、その後NFTとしてNFTオークションに出品したことで話題になった「Burnt Finance」を紹介します。
本記事の内容
- Burnt Financeとは
- オークションハウスの「これまで」
- Burnt Financeのユースケース
- Burnt Financeのオークション形式
- Burnt Financeのロードマップ
すでに様々なマーケットプレイスなどが話題となり、OpenSeaをはじめとするプラットフォームが世界では多くのユーザーに利用されるようになりました。日本では幻冬舎の箕輪さんが企画したサウナランドがNFTになり、OpenSeaで270万円で落札されました。
話題を呼ぶNFT市場ですが、課題もあります。そんな課題をクリアし、分散型オークションの可能性を広げるプロジェクトであるBunt Financeの魅力をまとめていきます。
Burnt Financeとは
Burnt Financeとは、Solanaブロックチェーンで発表された分散化NFTマーケットオークションのプロトコルです。
ユーザーが「自分の手」でオークションを行うことを可能にして、中央管理者からの許可の要らないエコシステムで、あらゆるデジタル資産のオークションを可能にする、というコンセプトとなっています。
このプラットフォームは、NFT、デジタルアセットなどのオークションをサポートします。
Solanaベースのアーキテクチャにより、他のブロックチェーンにはない取引速度と手数料の安さを実現しています。また、Alameda、Multicoin、Vessel Capital、Defiance、Injective Protocolなどの複数の有名な投資家から合計3億円以上を調達しています。
Burnt Financeが実現したいこと
- 低額なガス代でNFTマーケットを誰もが利用できる
- 高速なトランザクション速度で素早い決済・契約ができる
- 中央管理者からの評価に依存しない出品ができる
- 出品者と入札者の匿名性が担保される
- 新たなNFTオークション形式の提供する
- NFTの作成する機能をマーケットプレイス側で提供する
プロジェクトは現在、進行中で公式ミディアムで随時更新されています。
Solanaブロックチェーンに関する詳しいことはこちらの記事でまとめておきましたので、参考にしてくださいね。
オークションハウスの「これまで」

https://medium.com/burnt-finance/introducing-decentralized-auctions-on-burnt-finance-part-ii-5362299bd0d8よりキャプション
これまでのオークションハウスは、物理的な商品が出品され、歴史や権威のある技術者や専門家によって鑑定された商品だけが、出品されてきました。
サザビーズ、クリスティーズといった歴史あるオークションハウスには、物理・経済・社会的に計り知れないような参入障壁があるのは、なんとなく想像できますよね。
ポっと出のクリエイターが”ものすごい価値の高いもの”を作ることができたとしても、すぐに出品してオークションにかけることは実質的に不可能です。
逆に、贋作などの偽物を排除して、「価値の保証」を中央管理しているオークションハウスが担保するのがビジネスモデルだったのです。これらに参加できるのは、現実的には制作するのは超有名なアーティストで、入札するのは超富裕層に限定されてしまいます。
デジタルアートのようなNFTがオークションハウスに出品され、話題になりましたが、こちらも欠点があります。それは、オークションハウスにNFTが認められなくてはならないということです。
また、中央管理のオークションハウスの「価値の保証」のため、ユーザーは匿名性を維持することができず、個人情報を登録する必要がありました。
イーサリアムのオープンマーケットプレイスの課題
現在では、「OpenSea」を代表する分散型管理をうたうマーケットプレイスは確かに存在します。
しかし、そのほとんどがイーサリアムブロックチェーンで運営されてはいるものの、高額な手数料(ガス代)と遅い取引期間に悩まされており、実用的な運用が困難なケースがあります。
これにより、クリエイターやユーザーが排除されてしまっていることは事実です。
Burnt FinanceへのTechCrunchのインタビューでは、以下のように語っています。
Burnt Financeの広報担当者は筆者にこう語った。「たいがいのオークションはEthereumをベースにしていますが、現在、Ethereumの手数料は非常に高くなっています。アート作品を作るだけで70ドル(約7600円)もかかることがあり、NFTを50ドル(約5450円)で売ろうとしていたら使えません。我々がSolanaを選んだのは、主にエコシステムの観点からです。技術的な面に加えて、急成長しているからです」。
悪意のあるユーザーがイーサリアムネットワークを混雑させたり、手数料を操作しようとしたりなりかねない。こうした状況下では、公平なオークションの入札を左右してしまう、とのこと。
Burnt Financeでは、Solanaブロックチェーンを利用しますのでこうした課題をクリアしているわけですね。
BurntFinanceトークンのユースケース
BurFinanceのガバナンストークンとして発行される$BURNTのユースケースについて、紹介していきます。
- ガバナンストークン
- bAssetsの担保トークン
- プラットフォーム取引手数料の減額
- オークション利用のインセンティヴとして配布
bAssetsについて
bAssetsとは、Burnt Financeのプラットフォーム上でミントすることで発行できるトークンで、公式ミディアムでは、合成資産(Synthetics:シンセティクス)として譲渡や取引が可能、と説明しています。現実世界の株式、商品などと合成することができます。ユーザーは$BURNTをあずけてbAssetsの配布を受けます。
例えば、ブロックチェーン上でユーザーが銀を取引したいとします。銀の合成資産を作成すると、現実世界の銀の価格を追跡する金融派生商品が作成されます。その後、この合成資産はチェーン上で取引され、ユーザーが銀合成品を購入できるようになります。こういったケースを想定します。
プラットフォームの取引手数料は1%→0.1%に削減する予定とのこと。$BURNTの持っている意義を高めるため、価格維持にもなります。
Wait LIstはこちらから登録できます!https://burnt.com/
Burnt Financeのオークション形式
サポートされるオークションは、英国式、オランダ式、宝くじ形式、ボンディングカーブ形式といった手法を取り入れる、としています。
英国とオランダ式はこれまでのオークションのイメージとさほどかわりませんので割愛します。気になる方はこちらにまとまっています。
宝くじ形式
入札できる人自体を抽選にするという方式です。スマートコントラクトにより、ランダム化されたハッシュ値の整合性をチェックし、同じハッシュ値を保持しているユーザーが一致すれば勝者が決まる、という仕組みです。
ハッシュ値:ある文字列に同一のハッシュ値をあて計算した値は、同一の文字列となる関数のこと。
偶然性に拍車がかかり、入札価格にも大きな影響をあたえます。日本では法律上どのような位置付けとなるか明確なものがないでしょう。
ボンディングカーブ形式
ボンディングカーブとは、需要と供給によってトークンの発行量と価格が調整され、売りたいときに売れて、買いたいときに買うことができる仕組みです。
ある人がトークンを買いたい場合、そのときの発行総数に応じてトークン価格はアルゴリズムによって決定され、トークンが新規生成されます。

https://medium.com/burnt-finance/introducing-decentralized-auctions-on-burnt-finance-part-ii-5362299bd0d8よりキャプション
逆に売りたいときは、同じくアルゴリズムによって、その時のトークンの発行数に応じて、トークン価格が決定されます。トークンを売った時、スマートコントラクトによって売却価格がコントラクトアドレスから払い出しされ、売却したトークンはバーンされます。
理論上は、これによってトークンの流動性問題が緩和される、というわけですね。
各オークション形式については公式ドキュメントを参考にしました。
Burnt Financeのロードマップとは:まとめ
BurntFinanceは、現状のオープンマーケットプレイスの在り方は、半中央集権型として、分散型プラットフォームとして不十分という認識を示しています。
ガス代が高く、手続きが複雑であればあるほど、出品したい人も入札をかけたい人も、資金が十分でなかったり、技術に詳しくなかったりすると、それ自体が参入障壁となっている、というわけですね。
Burnt Financeは、現状の体制に対する、皮肉や問題点の指摘による”アンチ”の姿勢はバンクシーの表現するイメージに共通するものがあります。
マーケットプレイスが解放された際には、大いに注目があつまるかもしれません。Solanaブロックチェーンをまだ利用したことない方は、以下の記事で詳しい移行方法を紹介しています。
興味のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。