IRON Financeの勢いが止まりません…!
さすがに加熱気味では…?と感じる人も増えてきている頃ですよね。「撤退タイミング」を探している人もいるかも知れません。
そこで、本記事では「IRON Financeの崩壊するシナリオとは?」をまとめていき、撤退タイミングの参考にしていただければと思います。
本記事の内容
- シナリオ①:担保資産が抜き取られる
- シナリオ②:AaveのトラブルによるIRONへの飛び火
- シナリオ③:IRONとTITANが暴落
$IRONの仕組みについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
この記事のオーサー

シナリオ①:担保資産が抜き取られる
IRON Financeでは、USDCを担保(準備)資産としてプロトコルに留めておく仕組みになっています。
IRON Finance全体の預けられたUSDCのうち、75%は一度タイムロックされるスマートコントラクトに保存され、その後「Aave」を利用してレンディングなどの投資により収益を生んでいます。
この収益は$TITANステーキングプールの報酬に利用されています。残り25%は担保資産として運用しません。この割合が15%に下がってしまったときは、Aaveに投資しているUSDCを回収して25%を維持するプログラムになっています。
このシナリオのリスクは、これらのUSDCが何者かに抜かれる、ということでしょう。
また、担保資産USDCが運用されているコントラクトアドレスはドキュメントに公開されています。
ただし、これ。情報量が多すぎて見方がよく分からない…という方もいらっしゃいますよね。ぼくもそうでした…。以下の点を押さえておくと見やすくなります。
- TxHash: トランザクション固有のID
- Block: トランザクションが含まれるブロック
- Age: トランザクションが発行された日付
- From: 送信元アドレス
- To: 送信先アドレス
- Quantity: そのトランザクションで送金した量
また、プロトコル全ての資金の一定割は、Effective Reserve Collateral Ratio(実効準備担保率)として、保存されます。30%程度は準備をしているので、その分は保証するよ、と解釈しています。
シナリオ②:AaveのトラブルによるIRONへの飛び火
IRONでは、75%のUSDCの投資先になっているので、Aaveに何かあった場合、その影響がIRONまで飛び火することは間違いありません。
そこで、Aaveについて、ここで概要を把握しておき、撤退の判断に役立てていきましょう。
Aaveとは
Aave(アーべ)とは、BSCでいうVenusのようなレンディングプラットフォームです。EthereumやPolygonで利用することが可能です。
アーべ:フィンランド語で「幽霊」の意味。DeFiの透明性などを表すシンボルとしてゴーストが採用されています。
Aaveが提供しているスマートコントラクトは、貸し手と借り手のマッチングではなく、貸し手がAave流動プールに資金をデポジットすることによって、借り手の継続的な資金の借り入れを可能にしています。
例えばUSDCを担保に預けることでETHの借り入れをすることができます。担保の提供者は利回りを獲得し、借り入れを行ったものは利息を払い精算します。
Aaveに資金をデポジットした人は全員、デポジット分のaTokenを受け取ることになります。これらは利回り付きのトークンであり、担保資金との価値との比率は1:1で固定されています。
また、aTokenを活用したNFT発行機能を拡大しています。たまごっちのAave版でキャラクターをNFTとして所有したりできたり、Polygonへのブリッジ機能もあったりします。

出典:Aavegotchi
与信枠の委任機能(CD:Credit Delegation)
自分が預けた担保資産による借り入れ枠を他のユーザーに貸して、利息を得るという機能です。

https://docs.aave.com/developers/より引用
スマートコントラクトによる契約の強制力で、貸したユーザーは担保利回りにプラスして与信枠の貸し出し利回りを受け取ることができます。
Aaveのリスクヘッジ機能「セーフモジュール」
担保が生産された後も、十分な流動性がない場合、Aaveにはセーフモジュールという機能があります。このプールのの中には、AaveユーザーがステイクしたAAVEトークン(Aaveのガバナンストークン)やETHが預けられています。

https://docs.aave.com/aavenomics/safety-module#safety-moduleより引用
Aaveにプールされている資産や流動性がもし不足したときは、このセーフモジュールにロックされているAAVEが市場で売却され補填される仕組みです。
このセーフモジュールにAaveを預けておくインセンティブとして、ユーザーには、ステイク報酬や借り入れ時の手数料軽減というメリットがあります。
スマートコントラクトによるリスク
コントラクトのバグ、設計上の欠陥、潜在的な脆弱性に対するもの
担保資産の精算リスク
Aaveに担保されている資産の価格破綻のリスク。いつでも精算が行われないリスク。
オラクルの障害リスク
極端な市場の低迷とネットワークの混雑によるシステム停止などに起因する不適切な精算リスク。
公式ドキュメント
シナリオ③:IRONとTITANの暴落
もっともシンプルなリスクですよね。
いまのところ、IRONもTITANも価格を維持しています。
もし、IRONとTITANが暴落すると何がおこるのか?はシュミレーションを行っておく必要があるでしょう。これは、BSCでのIRON Financeの現状が、参考になると考えられます。
BSCではECRが100%近い状態となっています。100%に近いということは、STEELをほとんど必要とせずにBUSDからIRONがミントできるということを意味しています。
なぜ、BSCでこのような状況となったのか予想ですが整理していきます。
BSCでのSTEELが下落した流れ
- IRONが1ドルを下回りTCRが上がる
- STEELが売却されBUSDの担保資産へ補充
- ECRが100%に近づきSTEELの需要減少
- STEEL価格が暴落
つまり、STEELの暴落→ECR100%に近い状況になる、ということになります。だとすれば、STEELが暴落したからといって、慌ててIRONを売却する必要はないということですよね。
なぜなら、待っていれば、IRONはBUSDとほぼ同価値で交換できるからです。
STEELをTITAN、BUSDをUSDCに置き換えればPolygonでのIRONやTITANの暴落というシナリオはおそれる必要はそこまでない、と考えることができます。
TITANの暴落は起こりうることなので、TITANを使ったLPペアをファーミングしている方は、インパーマネントロスに注意した方がいいでしょう。
逆に、IRON/USDCのペアでファーミングする分にはTITANやIRONが暴落する影響はそこまでではないと、言えるかも知れません。
IRON Financeの崩壊シナリオ:まとめ
ここまで、考えてきたリスクをまとめていきます。
シナリオ①:担保資産が抜き取られる
どうしようもない。有効準備担保率は30%ほどあるので、自分の預けた資産が良くて30%くらいは戻ってくる可能性がある。PolygonScanでコントラクトアドレスに注意しておく。
シナリオ②:AaveのトラブルによるIRONへの飛び火
Aaveは、巨大なレンディングプラットフォームなので、トラブルが起きた時のそれなりの準備資産、リスクヘッジ共に備わっていると見ている。
BSCでのValueDeFiのハッキングによるIRON Financeの再構築の姿勢を参考にするに、プロジェクトを放置しないという意欲的な姿勢はある、と評価ができる。
シナリオ③:IRONとTITANが暴落
TITANの価格が暴落しても焦ってIRONを売る必要はない。ECRが100%近くなったらIRONをUSDCに交換すればOK。
TITANとのLPペアを運用している場合はインパーマネントロスのリスクは高いので、APYとの天秤にかける。
IRON下落からTITAN下落までの流れ
- IRONが1ドルを下回る
- TCRが0.25%上昇
- TCRとECRの差が広がりUSDCが準備資産が足りなくなる
- コントラクトがTITANを売却してUSDCを購入して準備資産に入れる
- TITAN価格が下落
- TITANを入手する理由がなくなりIRONへの需要が減少
IRON1ドルを下回る時のアービトラージ(IRONを1ドルに維持させるように動く機能)
市場でIRONを購入してIRON FinanceでRedeemすることで1IRONにつき、$1相当のUSDCとTITANが手に入り利益を得られる。
IRONが下落するとTITAN単体ステーキングプールのAPYが上昇するので、TITANをステイクするインセンティブになる
この連鎖にアービトラージ(裁定取引)の機能が対抗できなくなる点、が暴落のきっかけとなりそうです。
結論
USDC/IRONのペアで失ってもいい金額でファーミングして利回りを得て、即利確。攻めたい人は同ペアでファーミングしてTITANを再投資していく。
その先の判断は自己責任となります。考察の参考になれば幸いです。