
こうした疑問にお答えします。
IRON Finance(アイアンファイナンス)とは、もともとBSCで運営されていたプロトコルでしたが、「Polygon(旧Matic)」に登場したことで、TVLが急上昇しました。
成長の理由はシンプルです。「ステーブルコイン同士のLPペアでも1,000%を超える高いAPYを維持している」という点にあります。
本記事の内容
- Polygonチェーンに接続してIRON Financeを始める方法
- ステーブルコイン$IRONの解説と仕組みの説明
- 最強のステーブルコインを体験しよう:まとめ
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さっそく、やりかたをみていきましょう!
Polygonチェーンに接続してIRON Financeを始める手順
Polygonチェーンへの接続や送金は、DeFiの運用経験があれば非常にかんたんです。
MetaMaskのインストールや設定方法が分からないという方は、こちらの記事でひととおりの方法を紹介しています。参考にしてみてくださいね。
かんたんな流れ
- BinanceでBTCをUSDCに交換する
- USDCをMetaMaskのウォレットに送る
- Matic Web WalletにMetaMaskを接続
- USDCをPolygonチェーンにブリッジする
- IRON FinanceでMetaMaskの接続とPolygonチェーンの認証
- USDCを半分$IRONに交換してIRON/USDCのLP
BinanceでBTCをUSDCに交換する
Binanceの取引所から交換を行ってください。

BinanceのBTC /USDCの取引画面。「SELL」を選択します。
Binanceでアカウント登録ができていない人はこちらから登録できます。
日本円から交換していく場合は、こちらでまずは日本円でビットコインを買いましょう。
USDCをMetaMaskのウォレットに送る
BinnaceからWithdrawを選択して、交換したUSDCをイーサリアムネットワーク(ERC20)の規格に設定して送金します。
MetaMaskのネットワークはイーサリアムメインネットに変更しておきましょう。
送金方法に不安がある方、はじめてやる方は必ずテスト送金を行ってください。

出金(Withdraw)の際にはあらかじめ「ホワイトリスト」にアドレス登録が必要です。登録は「Address Management」から。
あとでブリッジの際にガス代でETHを消費するのでブリッジ用に10ドル分ほどETHもMetaMaskに送金しておいてください。

「Add Token」からUSDCを登録しないとウォレットにUSDCが表示されませんので注意です。
ブリッジのガス代は、時価により変動します。
USDCをPolygonチェーンにブリッジする
Matic公式のブリッジを使用しましょう。
AnySwapでもBSCからブリッジすることができます。流動性の供給が十分の場合、こちらの方が手軽にブリッジ可能です。今回は、確実な方法を紹介しています。
MetaMaskから承認を求められますので、クリック。

Approveの後のConfirmedでもクリックが必要です。ピースサインが出たらブリッジ完了!
ブリッジには時間がかかります。どれくらいかかるか気になる方は、Transaction in Processの下にあるView on Etherscanをクリックして時間をみてみましょう。

経過時間がわかります。PendingがSuccessになればOK
次のMatic Web WalletにMetaMaskを接続するところまで終わらせたら、少し休憩しましょう。
Matic Web WalletにMetaMaskを接続
ブリッジの待ち時間の間に、Matic Web WalletにMetaMaskを接続しましょう。接続をするだけでガス代である$MATICを勝手に付与してくれます。
Polygonチェーンはガス代が安いので付与された0.001MATICで今回のトランザクションはOKです。ただしトランザクションをミスったりした場合にMATICが足りなくなる可能性があります。
その場合は、ガス代用のETHを0.1MATICほどスワップしてブリッジしておくと安心です。USDCのブリッジよりも早くすみます。
BSCやSolanaではガス代トークンは自分で用意しないといけませんが、Polygonチェーンの場合、$MATICを交換して入手しなくて大丈夫です。Polygonチェーンの嬉しいメリットですね。
IRON FinanceでMetaMaskの接続とPolygonチェーンの認証
IRON FinanceにアクセスしてMetaMaskを接続しましょう。
MetaMaskの接続を行うと、自動的にPolygonチェーンへの接続に切り替えるか?と求められます。
これで、PolygonチェーンへのMetaMaskの接続が完了です。わざわざ自分でアドレスやIDを設定する必要はないですよ。
USDCを半分$IRONに交換してIRON/USDCのLP
MetaMaskのPolygonチェーン側にUSDCが着金したら、半分を$IRONに交換してLPトークンを作ります。
どこでLPトークンを作ってもOKです。ぼくはSushiSwapを利用しました。
レートを比較して少しでも有利な取引をしておきたい方は、QuickSwapを比較するといいです。
ここまでで、IRON Financeでのファーミングを開始することができます。おつかれさまでした。
仕組みやリスクを把握しておきたい方は、この後の内容を参考にしてみてくださいね。
ステーブルコイン$IRONの解説と仕組みの説明
そもそもステーブルコインなのにここまで高APYを出している理由はなぜなのでしょうか?
ひとつずつ、仕組みを解説していきます。
IRON Financeのポイント
- 法定通貨ステーブルコイン担保のステーブルコイン
- USDCとTITANの一定割合によって発行されるトークン
- 2つの担保割合:TCRとECR
- 多く預けられたUSDCの活用
法定通貨ステーブルコイン担保のステーブルコイン
まずは、ステーブルコインとはどんなものかを知っておくと理解がスムーズになります。
法定通貨ステーブルコインとは、USドルなどに裏付けされたトークンをさし、1ドルと連動するように価格が動くUSDCやBUSD、USDTなどが該当します。
USDTはTether社が内訳を公開していますのでステーブルコインを理解するのに参考になると思います。
- 75.85%:現金及び現金等貨物、その他の短期預金、コマーシャルペーパー
- 12.55%:担保貸付金
- 9.96%:社債、ファンド、貴金属
- 1.64%:その他(デジタルトークンを含む)
このうち左側青い円グラフの約76%を占める現金などの内訳は、以下の通りです。
- 65.39%:コマーシャルペーパー
- 24.12%:信託預金
- 3.87%:現金
- 3.6%:リバースレポ・ノート
- 2.94%:短期国債
テザー社は、今後2年間にわたり、準備資産の内訳公開をしていくこととなっています。
少し話がそれましたが、これらのドル価格を連動したトークンでさらに、もう1段階裏付けをうけた、間接的なステーブルコインが$IRONということになります。
USDCとTITANの一定割合によって発行されるトークン
$IRONは、USDCと$TITANによってミント(Mint:鋳造=発行)することができるトークンです。
$IRONは、上記画像時点では、75:25=USDC:$TITANという割合です。内訳はシンプルに2種類となっているステーブルコインです。
この割合は変動します。
以下のTCRとECRの前提となってきます。
2つの担保割合:TCRとECR
- TCR:Target Collateral Ratio
- ECR:Effective Collateral Ratio
の略称です。
Collateralとは、担保を意味します。
TCRとは
TCRは、「$IRONをミントする際にどれくらいのUSDCを入れる必要があるか?」を示しています。
上記の画像でいえば、75%はUSDCで残りの25%は$TITANをペアにして1IRONを発行するすることができます。
- 1$IRONが1ドルを超える時:TCRは0.25%減少
- 1$IRONが1ドルを下回る時:TCRは0.25%上昇
TCRが100%の場合には、USDC=TITANで交換できることになるので、TITANを欲しい人へのインセンティブになるという仕組みになっています。

参考:IRONの価格実績
$IRONが1ドルを維持する機能といえます。
ECRとは
ECRは、プロトコル全体の$IRONのうちの、ステーブルコインの担保率を表します。
上記の画像でいえば、80.85%がUSDCによって裏付けされていることになります。
残りの19.15%は$TITANです。
ECRが高いということは、プロトコル全体に対してUSDCの裏付けが多いのでリスクヘッジできている、と判断することができます。
$IRON価格が1ドルを超える場合
- TCRが0.25%減少
- TCRとECRの差が拡大してUSDCが過剰になる
- 過剰担保USDCを$TITANに買い戻し
- $TITAN価格が上昇
- $TITANの価値が高まり$IRONへの需要が発生
逆に、$IRON価格が1ドルを下回った場合は、TCRが0.25%上昇して上記と逆の動きをすることになります。
つまり、TCRが上昇しているかどうかはIRON Financeを利用する上で重要な指標となるので注意が必要です。
多く預けられたUSDCの活用
TCR<ECRの場合、$IRONの価格担保に「必要以上のUSDCが担保されている状態」ということになり、USDCが多く預けられていることになるという説明を行いました。
多く預けられすぎた分のUSDCの75%が、プロトコルによりAAVEを利用して収益を生み出す仕様になっています。ロックされたり、レバレッジをかけたりしないシンプルなものになっているとのこと。
As we previously said, the maximum of 75% of the USDC collateral is invested into AAVE and this USDC investment has no locked rewards, no lock-up periods and no leverage to demonstrate our tech before we increase complexity.
https://docs.iron.finance/iron-finance-on-polygon/investment-vaults
ただし、この75%分のUSDCの投資先については、ガバナンス投票により変更の可能性があります。この点をリスクと評価する人もいます。
Later we may diversify and post a governance vote about investing a part of the investable collateral to other protocols and develop further strategies.
英字引用部分は公式Midiumより引用しています。
https://ironfinance.medium.com/our-in-house-developed-investment-vault-on-polygon-is-live-efdf616b4dee
TITANが暴落したらどうするか?
TITANの価格が下がっていくとすれば、$IRONの下落要因となります。
$IRONが1ドルを下回ると、TCR上昇→TITANの売却でECR上昇、がコントラクトにより自動的に処理されます。
過剰なUSDCがなくなるので、TITANの売却でUSDCと$IRONの交換が1:1で行える方向にTCRが動きます。焦って$IRONをUSDCに交換しなくても、待っていれば1USDCに対して1IRONを受け取ることができるということになります。
もし、$TITANが暴落したらECRが100%に近くなるまで待ってから$IRONを交換するようにしましょう。
最強のステーブルコイン?を体験しよう:まとめ
収穫した$TITANは、半分をIRONやMATICに変えてLPトークンを作成していきます。
TITAN-IRONもしくは、TITAN-MATICでファーミングを行い複利運用をしていくことができます。
Aaveを使って手持ちのBTCを売却せずに、USDC /IRONのLPペアを複利運用していく方法はこちらの記事で紹介しています。
または、Polycat FinanceやBeefy.Financeのなどのイールドアグリゲーターを利用して自動複利プールを利用してもいいと思います。
ステーブルコインというボラリティがない仮想通貨のメリットを有効活用し、高APYを楽しんでみましょう!
