2021年6月16日22時ごろ、IRON FinanceのTITANが65ドルから暴落し、6月17日時点には価格が0ドル以下となるという事態が起こりました。

CoinGeckoよりキャプション:CoinGeckoではTITAN価格64ドルをマークした
本記事では、なぜ、TITANが暴落したのか整理し、IRON Financeで得た経験を今後に活かしていくために、記事にまとめていきます。
本記事の内容
- なぜ、TITANは暴落したのか?
- IRON Financeが及ぼした影響
- DeFiのリスクをどう捉えるか
当ブログにおいては、IRONのはじめ方、ファーミングの方法を紹介していましたので、顛末の状況についても、かんたんにまとめておく必要があるでしょう。
IRON Financeの崩壊シナリオを考察したブログはこちらです。分析が甘かった部分が多分にありますが、結果としてTITANの価格暴落というシナリオを迎えました。IRONがUSDCと1ドルで交換できると信じ切っていたぼくはかなり冷や汗をかきました…。
話題性があった銘柄でもあり、DeFi経験が長くない方も参入していたかもしれません。ぼくもしっかりと損害を被りましたので、今後に活かしていくためにまとめていきたいと思います。
WARNING!
IRON Financeを装い、補償を受けられると案内してSeedPhraseなどを盗む事案が発生しています。公式Telegramなどであってもリンク先の確認、IRON Financeのadminか、サポートか、など情報の発信元を把握して、詐欺被害に合わないようにしましょう。
なぜ、TITANは暴落したのか?
TITAN暴落後、2021年6月18日に発表されたIRON Financeの公式Mediumを参考に、TITANの暴落原因をまとめます。
TITAN暴落原因流れまとめ
- TITANが65ドルまで上昇
- 60ドル近辺でクジラ(大量保有者)がTITAN大量売却
- IRONのアービトラージで価格が1ドルに戻るはずが、TITANの売り圧が優勢に
- IRONの1ドルペグがはずれる
- IRONの価格が下がり始め、パニックになったユーザーがIRONをRedeemした
- このRedeemにより大量のTITANが発行され、さらにTITAN価格の暴落がはじまる($65→$30)
- TITANの価格がプロトコルで$0>になった
- スマートコントラクトの記述からIRONのRedeemが処理されないことが判明
- プロトコルのすべてのステーキングトークンの引き出しをアナウンス
- プロトコルのUSDCタイムロック後、IRONのRedeemを再開
- IRONのRedeemによるUSDCの割合は0.74であると発表される
これが、おおまかな流れという認識です。IRONの運営チームは”予想しなかった”TITANの大量売却が引き金になり、想定しうる最悪の事態になった、とコメントしています。

スマートコントラクトが「share_price >0」となっており、0ドル以下となったTITANのRedeemができなくなった。
現在のIRONではプログラムの修正は何もできないが、今後の方針としてIronBank(レンディング)、IronSwap(ステーブルコイン特化のスワップ)を開発しているところのようです。

公式Telegramアナウンスよりキャプション
V2となるIRONの次のステーブルコインを開発する可能性を示唆しています。

公式Telegramアナウンスよりキャプション
少なくとも、IRONやTITANが次のプロトコルで利用されるケースはありえない、でしょう。
参照元
メディア
https://gigazine.net/news/20210618-titan-iron/
https://www.coindesk.com/iron-finance-defi-titan-iron-price-drop
IRON Financeが及ぼした影響
TITANの大暴落については、世界の各メディアに取り上げられていました。
クリプト系以外のメディアでも取り上げられるほど、話題になってます。海外では億万長者の投資家であるマークキューバンさんが関心を示していることをブログで公表したこともあり、TITANの市場に影響があった、とする人もいるようです。
日本では、インフルエンサーの煽りに乗った方々が、損害を被ったとして、インフルエンサーのSNSアカウントを攻撃している動きまででてきた、とのこと。
中央集権的に管理された金融取引所であれば、プログラムのミスに起因する損害賠償や、カスタマーサポート体制の整備のような問題が起こりそうな気がします。
改めて、DeFiはハイリスク・ハイリターンで、自己責任・自己判断で投資をしていく必要性を実感するような事件だった、といえます。
DeFiのリスクをどう捉えるか
ここであらためて、DeFiに投資するにあたってリスクをかんたんに整理しておきます。
今回、もちろんぼくを含め、含み益から損失を出してしまった人、純粋に損失を被った人、は今後の立ち回りに活かしていくことこそ、重要ですよね。
DeFiリスクのまとめ
- パブリックブロックチェーンのリスク
- ペグトークンのリスク
- スキャムのリスク
- 管理者起因のリスク
- SeedPhrase管理のリスク
- スマートコントラクトのリスク
- オラクルのリスク
- フラッシュローンのリスク
- プロトコルのリスク
DeFiには構造上、内在するリスクが複数存在していることを把握してもらうため、列挙してみました。
前提として、ネットワークは安全か?といったサイバーセキュリティの部分も非常に重要かと思います。
興味のある方は、上記リスクをキーワードに事例を把握しておくことをおすすめします。
PancakeSwapでおきたDNSジャックは、DeFiプロトコルやコントラクトの脆弱性を攻撃されたのではなく、レンタルサーバー企業が提供するセキュリティに起因していたとされています。
DNSジャック事件については、ブログにまとめていますので、興味のある方は参考にしてみてください。
引き続き、情報収集を徹底し、自分で責任の取れる範囲でDeFiやブロックチェーンを学んでいきましょう。
IRON Finance振り返り:まとめ
IRON FInanceに投資していたなかで、IRON/USDCのペアのみで投資していたひとは、相対的に軽微な損失で済んだと思います。
TITANのLPペアを組んでいた人は、片方のトークンの価値がほぼ0になってしまったので、大損害を被っていたはずです。
例えば、TITAN/ETHのペアで流動性を提供していた場合、実質的にLPトークンは無価値の状態になってしまったはずです。
つまり、TITANで–100%のはずが、ETHの分まで失ってしまうので2倍の損をしているかと思います。これがDeFiの「流動性提供の恐ろしさ」と「高APYの理由」だと認識しています。
このあたりは、インパーマネントロスを知っていれば回避できたはずです。こちらの記事で紹介していますので、今後もDeFiを触っていくのであれば、必須の知識です。
今後のプロトコルの紹介はしていきますが、可能な限り、こうしたリスクについても「セットで」紹介できるようにしていきます。
