クラウドファンディングってどんなものだろう?
個人でもお金を集めてプロジェクトを立ち上げたいと考えている方へ、クラウドファンディングの基礎知識と個人でのプロジェクトを立ち上げる方法をまとめておきました。
インターネットでお金を集めて本当に大丈なの?といったそもそも「クラウドファンディング」というものの実態の理解が周囲にないと「詐欺」といった言葉でクラウドファンディングを誤解されてしまうかもしれません。
「悪い人がお金を集める方法」のような間違った認識のまま理解されないのはとても悔しいことですし、できれば応援してもらいたいですよね。
今回の記事は、これからクラウドファンディングを個人で立ち上げたい方が安心して挑戦できる情報を提供できるようまとめました。

- クラウドファンディングってどういうもの?
- プロジェクトを立ち上げる際に注意するポイントは?
- クラウドファンディングって税金かかるの?
- 成功しているプロジェクトの具体例が知りたい!
こうした疑問にお答えします。
目次
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、クラウド=群衆、ファンディング=資金調達を組み合わせた造語です。
たくさんの人からお金を集めるという意味では、寄付に近いですが、一口にクラウドファンディングという場合でもさまざまな形態があります。インターネットの普及とともに、2000年頃にアメリカではじまりました。
ウェブサイトに登録されているプロジェクトに不特定多数のひとがアクセスし、自分の気に入った商品や応援したい行動などに出資していきます。プロジェクトの方法は大きく分けて3パターンあります。それは、購入型、寄付型、金融型です。
購入型クラウドファンディング
購入型であれば商品の企画をメーカーが行い、その商品を作るアイデアをプロジェクトとしてインターネット上で公開します。この商品開発をすることに共感を得ることができれば、出資をもらい目標金額が達成されれば商品化できることになります。
出資者は出資金額に応じて、リターン(商品など)を受け取ることができます。この購入型はいわば、商品の「予約購入」に近いものとなります。
寄付型クラウドファンディング
寄付型は、購入型とは対照的で商品などのリターンを設定しないものを指します。
出資した金額はプロジェクトの資金として活用され、活動報告やお礼をリターンする場合がほとんどです。被災地支援や地域の町おこしなど、公共性の高いクラウドファンディングで用いられるものが多いです。
金融型(融資型)クラウドファンディング
金融型で代表的なものは、融資型クラウドファンディングがあります。
金融機関を介さずインターネットを通して個人投資家から資金をあつめ、この集めた資金をもとにクラウドファンディング業者が企業に融資を行います。融資先企業からの返済元利金の一部をリターンとして出資者に分配する方式となります。
銀行を介さないことにより手数料を省けるなどのメリットがありますが、融資先企業の倒産などリスクヘッジが十分でないこともありますので、出資先の選定が重要となります。
クラウドファンディングができるサイト
クラウドファンディングができる会社はいまやたんさんあります。それぞれの特徴を以下にまとめます。

https://bamp.media/knowledge/1003.htmlより引用
https://bamp.media/knowledge/1003.html¥
日本では2011年ごろにREADYFORという会社により始まったクラウドファンディングですが、今ではたくさんの企業が参入しています。
それぞれのプラットフォームではバックボーンとなる企業が異なるということもあり、プロジェクトの特色が異なりそれぞれ魅力あるプロジェクトが日々検討されているようです。
クラウドファンディングのやり方
個人がクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げ、サイトで申請する場合には以下のような流れとなります。
クラウドファンディングのながれ
- プロジェクトを申請する
- プロジェクトのプレゼン資料を作成する
- プロジェクトを公開する
- 募集終了・リターン分配
- プロジェクトを実行する
まずはプロジェクトの申請をするにあたって、どのような構想のプロジェクトにしたいかというプロジェクト構成をまとめ、計画書を作成します。プロジェクトの作成に当たっては、プラットフォームの担当者と相談しながら計画を作ることもできます。
計画書には以下の項目を明確にしておきましょう。
プロジェクト計画書に必要なこと
- なにを成し遂げたいのか
- プロジェクトの独自性や注目ポイントは何か
- なぜこのプロジェクトを打ち立てるのか
- どんな課題をどのようにしたいのか
- 誰にどのようなメリットがあるのか
- いつまでにやりたいのか
- プロジェクト内容や原案などの資料は画像や動画で揃っているか
計画書にはつきものですが、こうした具体的なレベルでの構想を立てる必要があります。そのためのデータや実際の現場の声、実績、などの数字は日頃から情報収集しておく必要がありますね。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングには銀行からの融資や他の資金調達方法では得ることができないメリットがあります。
これを理解してクラウドファンディングを有効に使うことができれば、資金が集まらなかったとしても有益な情報を手に入れることができます。
インターネットを使って容易に資金調達をすることができる
たとえばクラウドファンディングがなかった場合、個人で資金を調達するためには銀行で融資を受けるか、株式会社として出資してもらうかなど、ハードルがとても高いです。資金調達をインターネットの力で容易にできた、ということになります。
テストマーケティングができる
世の中に本当にニーズがあるのかということを確認する方法は、実際にプロダクトを提示してみないとわからない部分が多くあると言われています。クラウドファンディングを活用すれば、プロダクトを発表する前に、実際に購入したいと思っている人から資金を具体的に集めることができるため、テストマーケティングに有効と言われています。
事前に予約が殺到すれば自然と注目が集まるのはなんとなくイメージが湧きますよね。そうした戦略の一つとしてクラウドファンディングを活用する例があります。
ファンを作ることができる
例えば洋服を販売するプロジェクトを立てる場合、もともとのブランドのイメージを壊したくないという理由で、クラウドファンディングに取り組むことを選ばないケースがあるといいます。
ブランドイメージというものが崩れる心配は確かにありますが、クラウドファンディングは、商品を手にする消費者とより近い「関係性」や「コミュニティー」を作ることができる側面があります。
それまでのブランドイメージはそのままに、商品が完成するまでの「職人の匠(たくみ)な技術」や「広報戦略」、「商品改良の過程」といった商品ができるまでのストーリーを共有することで、そこに「共感」という新しい価値が生まれ、既存の顧客からのイメージを壊すことなく資金調達を行うことができます。
クラウドファンディングで実績がある人物:お笑い芸人キングコング西野亮廣さん
キングコングの西野亮廣さんはクラウドファンディングをできるサービス(SILKHAT)を開発しています。また実際に自分で多くのクラウドファンディングを実行してきた経験(2億5,000万円以上の支援実績があるとのこと)をもとに「クラウドファンディングのコツ」を語っています。
https://note.com/entamelab/n/nec3082e54ba4
こちらの記事のポイントは以下のとおりです。
記事で重要なポイント
- プロジェクトは魅力的か
- 告知はしっかりできてるか
- たくさんの人と関わり共感を得ているか
これが大前提となっているとのこと。
その上で、この記事では「人は人が集まっているところに集まる」という習性をよく理解して計画を立てるといい、語られています。支援額と支援者数は数字で公開してプロジェクトに人が集まっていることを広告戦略として行うことが必要であるとのことでした。
西野さんのクラウドファンディングの戦略は『革命のファンファーレ』のなかで詳しく紹介されています。これからクラウドファンディングを始めたいと考える方には必読書です。
ビジネス書を読むのがちょっと苦手…という方には「聴く読書」がおすすめです。ナレーターが本を朗読してくれるので、聴くだけでビジネス書の内容がインプットできます。
AmazonのAudible(オーディブル)なら1ヶ月間無料で体験できる上に、無料体験には1冊好きな本を選ぶことができます。この機会に試してみるといいと思いますよ。
Audibleについてはこちらの記事で比較検討しています。
クラウドファンディングと税金
購入型クラウドファンディングには、出資してくれた人に対して商品やサービスを提供することになります。事業で得た資金や経費と同じように計上する必要がありますので課税対象となります。
個人がクラウドファンディングをした場合
個人が購入型クラウドファンディングを行い、資金調達をすると調達した資金は所得して扱われることになるので「所得税」がかかります。
ただし、出資額に対してリターンが小さいと寄付型のクラウドファンディングと区別しずらいため、贈与税の対象となる場合もあるようです。支援額とリターン設定はこのあたりを検討事項に入れておくべきでしょう。
法人がクラウドファンディングをした場合
法人が購入型クラウドファンディングを行い、資金調達した資金には「法人税」が発生します。
クラウドファンディングで資金調達した場合、おおよそ「所得税」と「法人税」が課税されることはわかりました。その場合、必要なのは確定申告ですね。ここで確定申告に必要な知識をまとめておきます。
- 事業所得:クラウドファンディングでの資金を業務の事業の資金よして調達した場合
- 雑所得:業務の事業に該当しないプロジェクトとして資金調達した場合
ただし、クラウドファンディングでの資金調達した所得(調達した額から必要経費を除いた額)が20万円以下の場合は、確定申告を行う必要がありません。(所得税についてのみ)
こちらのサイトが参考になりました。
https://meetsmore.com/services/tax-return-accountant/media/51179
クラウドファンディングが誤解されている(乞食じゃない)
具体的には他人の憐憫の情を利用して自己のために金銭や物品の施与を受けることをいう。
インターネットでお金を集めることが乞食(こじき)にあたるのでは?といった意見やクラウドファンディングを誤解している人がいると言われています。そのため、クラウドファンディングが乞食とは違う理由を確認していきましょう。
▽自己利益のためだけではないこと
あるプロジェクトを成功するために、そのプロジェクトを応援したい人たちからの支援により資金調達を行うため、全てが自己利益のみのためではない、ということができます。
▽リターンがあること
たとえば購入型クラウドファンディングでは、支援者に対してなんらかの物やサービスが提供されます。乞食ということであれば、物やサービスを提供せずに金銭を受け取ることを指します。
たとえ、リターンがないものであったとしても、それは寄付型のクラウドファンディングとして分類され、資金に対するお礼や活動報告などの価値を提供することなるのです。
▽資金調達の手段であること
クラウドファンディングはある企業の課題や社会的課題の達成に向けたプロジェクトとして打ち出されることが多いです。つまり、ビジネスや社会貢献活動などの資金調達の手段の一つと考えることができますね。
クラウドファンディングを個人でやるためには

Makuakeよりキャプション
個人の有名でもない人がクラウドファンディングで資金を集めるためにするべき方法はどんなことがあるのかをまとめていきます。
有名人の中で成功しているひとはたくさんいますが、その裏でネームバリューはあっても失敗している例はたくさんあります。
結論は、一般人がクラウドファンディングで資金調達するためには「共感」を広げていき、「信頼」を得ていくことがもっとも大切です。
クラウドファンディングの計画書の作り方で詳しくお伝えしました、「ストーリー」をいかに実感を伴って伝えることができるか、が非常に重要となります。
株式会社dripのFLOORPACKのクラウドファンディングの事例がとても参考になるかと思いますので、実際の事例を分析していきます!
株式会社dripのFLOORPACKのクラウドファンディングの分析
ストーリー
プロジェクトを発足する段階には、市場調査としてバックパックに詳しい方々を募り、座談会を開催しています。

https://www.makuake.com/project/floorpack/よりキャプション
そこで「バックパックはこうあって欲しい」という生の情報を集めて顧客のニーズ調査を実施。バックパックの機能について吟味し、「削るべき機能」や「本当に必要な機能」の検討を行っていました。
プロダクトのクオリティ
実際に工場から届いた試作品をひとつひとつ検討して、ブラッシュアップしていました。
このとき、ニッチだけど譲れないポイントや大胆に削るべきポイントを提案して、プロダクトを手に取る「応援購入者の視点」を中心に、ものづくりの現場の情報を発信して応援購入者に共有しています。

https://www.makuake.com/project/floorpack/よりキャプション
また、ストーリーの主人公を「購入してくれる応援購入者」に限定せず、様々な人間に焦点を当てることで、商品を一緒に作っているような「体験」を提供している点がとても印象的でした。
価格設定
SNSといったプラットフォームを利用して、価格調査を行っていました。Twitterのアンケート機能を利用して、「どの価格なら商品の購入をしたいか?」という視点を常に持ち続けていることが感じられます。

https://www.makuake.com/project/floorpack/よりキャプション
実際の価格設定も最も安い価格にし「価格設定をした意味」まで発信を行うことで、「購入して応援したい!」と思ってもらえるマーケティングをされていました。
「いい製品をつくりたい」という、ものづくりへの妥協のない姿勢が伺えますね。
ドリップで開発中のバックパック、こだわったぶん原価が高くなってしまいそうで値段設定で悩んでいます…。
(安い方が良いのは前提として)いくらくらいなら買いたい!と思いますか…?アンケートで教えてください!
— 株式会社ドリップ (@drip_corp) December 18, 2020
プロジェクト公開後の広告
プロジェクトが公開となり、リアルタイムでプロジェクトの応援金額が上昇していく過程をSNSで発信していました。
追加で設定した1000本があと100本ほどで完売しそうです。
これ本当に正直な話なんですが、この次の第三回のリターンはdripの企業規模的に、ご用意できるかわかりません…
一般発売はいつか必ずしますが、今年前半に確実にほしいという方は後悔のなきようお願いいたします…! https://t.co/7fAp5JI5C6
— 堀口英剛 / (@infoNumber333) January 26, 2021
このプロジェクトに応援する人が殺到している状況を伝えることで、さらに商品を購入したいと思う人が集まる「連鎖」が生まれるきっかけや仕掛けがたくさん用意されていました。
素敵な商品がSNSを通じて広がる様子は、「応援者自信」も嬉しいですし、新しい応援者の輪が広がっていくような感覚になりました。
そして追加の商品が応援購入できるようになるたびにSNSをとおして継続して発信していくことで、より多くの応援者を集めることに成功していたのでした。
▽こちらのリンクから応援購入することができます!(2021年2月27日まで)
https://www.makuake.com/project/floorpack/?token=0873f5b344d4785a38fbb5b8773764bf
クラウドファンディングの将来性
欧州最大のスーパーマーケットチェーンCarrefour(カルフール)が、食と農業に特化したフランスのクラウドファンディングサービス「MiiMOSA」と提携し、独自のクラウドファンディングプラットフォーム「JeParticipe」を2019年3月から運営しはじめています。
https://techable.jp/archives/114553
こうした、専門的な2つの分野がタッグをとり独自のプラットフォームを形成して、クラウドファンディングを募るという形が出てくる可能性があります。
単一のプラットフォームに雑多に投げ込まれるプロジェクトから、より専門的な分野に特化したクラウドファンディングのプラットフォームが作られるかもしれませんね。
個人でクラウドファンディングの企画を作っていくための参考にしていただければ嬉しい限りです。個人ではなくチームでクラウドファンディングを企画するときは、仕事の進捗状況の確認やタスク管理が重要となります。そんな時は以下の記事を参考にしてくださいね。