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【DeFiリスク】インパーマネントロス(変動損失)のメリット・デメリット!損失回避するための対策方法

2021年4月4日

 

インパーマネントロス(変動損失)ってなんだろう?どんな仕組みで発生するのかや避ける方法を具体的に教えて欲しいな…

 

こうした疑問にお答えします。

 

インパーマネントロス(変動損失)は仮想通貨投資の初心者のころでは理解が難しいです。仮想通貨を始めた頃のぼくもあまりよく理解できておらず、損失を出してしまっていました…。

 

今回まとめる記事は、初心者のころの自分が最低限知っておきたかった、実際に役立てることができるエッセンスをまとめて紹介します。大雑把な計算方法だけにとどめ、細かい計算式は混乱するのであえて記載していません。

 

こんな方におすすめ

  • イールドファーミングの変動損失を知りたい
  • 変動損失の具体的な計算方法を知りたい
  • 変動損失を避けるための対策方法を知りたい

 

 

この点についてまとめていきます。さきにこの記事でおさえておきたい結論を箇条書きにしておきます。

この記事の結論

  • インパーマネントロスとは、価格変動でLPトークンにした時よりも、ガチホしていた時の方が得になってしまう損失のこと
  • 損失が発生する計算式は暗記不要。リスクを認識するだけでOK。
  • インパーマネントロスのメリットは希望の仮想通貨量を増やせること
  • DeFiの高APYのカラクリの一つはインパーマネントロスへのインセンティブ

 

 

仮想通貨投資初心者の方がこの記事を読めば、インパーマネントロスの理解をとおして一歩レベルアップできるようにまとめていきますね。

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イールドファーミングのインパーマネントロス(変動損失)

 

イールドファーミングにおいて発生するインパーマネントロス(変動損失)とは、かんたんにいうと、「仮想通貨をペアにして流動性の供給を行った際の価格」と「ウォレットでガチホした際の価格」との差異による損失のこと、をいいます。

ガチホ:1年以上の長期的な保有を行うこと。

 

原因は、仮想通貨Aと仮想通貨Bをペアにした場合のA、Bどちらかの価格変動です。仮想通貨AとBのペアの価格変動は起きるけど、LPした先の「流動性プールの流動性量は一定に保たれること」になっているのでインパーマネントロスが起きます。

 

言葉の意味としては、イン=否定、パーマネント=固定なので「変動」という意味になるわけですね。カタカナがいっぱい出てくると慣れるまでやっかいですよね。

 

ここまでで理解できている方は少ないと思います。具体的で簡単な計算を行っていくと分かってくるので、以下を参考にしてみてください。




変動損失の具体的な計算方法:変動損失のデメリット

 

BNBとBUSDの具体例をもとにかんたんな計算を行っていきます。BNBはバイナンスコイン。BUSDはバイナンススマートチェーンでの米ドルと同価値のトークンです。

 

以下では、価格変動を通して、BNB-BUSDのLPトークンを提供した場合とガチホした場合を比較していきます。

 

BNB-BUSDのLPトークンを提供した場合

 

例えば、BNB–BUSDの流動性を供給すると、ペアの価格比率は1:1でおこなわれますよね。PancakeSwapでLPトークンを作るときに同価値の量しかトークンが作れないのと同じイメージです。

BNB:BUSD = 1:1

 

ここで、BNBとBUSDの価格をいれて考えてみます。1BNB:100BUSDとして合計200ドルのペアだったとしましょう。(実際の価格は違うのであくまで例です)

 

ペアの価格比率は1:1なので、

1BNB = 100ドル

100BUSD = 100ドル

1BNB:100BUSD = 100ドル:100ドル

ということになります。合計200ドルのLPトークンができあがりました。

 

1BNB:100BUSDのLPトークンをプールした結果、流動性プールの全体量が10BNB:1000BUSDになったとすると、自分のLPトークンはプール全体の10%を占めていることになります。

 

ここで、価格変動によりBNBの価格が上昇して1BNB=400BUSDになったとします。

 

流動性プールは流動性の割合を一定に保つために、プールの合計は以下のように自動で変更されます。

価格変動前 10BNB:1000BUSD = 合計2000ドル

価格変動後  5BNB:2000BUSD = 合計2000ドル

 

このプールからLPトークンを引き出す際、提供割合に応じて引き出されることになるので、今回の例の場合10%を引き出すことができます。

引き出せるLPトークンの価値

(0.5BNB=200ドル) + (200BUSD=200ドル)

 合計400ドル

 

を引き出すことができます。

LPトークンを提供した時は200ドルの価値だったので、プラス200ドル儲けたことになります。

 

 

LPトークンを提供した結果

200ドル → 400ドル :プラス200ドル

 

ガチホした場合

一方で、LPトークンをつくらずにガチホしていた場合を考えてみます。

 

ガチホの結果

(1BNB:100BUSD=200ドル)

→(1BNB:400BUSD=500ドル)

 

ということなので、LPにせず持っていたBNBとBUSDの合計は200ドル→500ドルになっています。

 

 

LPトークンを提供した結果とガチホした結果の比較

LPトークンで提供した場合:プラス200ドル

ガチホした場合:プラス300ドル

 

なのでガチホしていた方が、プラス100ドル大きかったことになります。この場合、この差の100ドル分がインパーマネントロス(変動損失)と呼ばれています。

 

かなり単純に理解すると、LPトークンにして提供するだけでこうした損失が出る可能性があるということです。運用せずにウォレットで保管しておいた方が損失が出ない分お得の場合があります。

 

これを読んで結果的にプラスなんだからいいのでは?と思いますよね。

 

今回の例が価格上昇の例だったからいいのです。これが価格下落の場合は、価格下落のマイナスにさらにインパーマネントロス(変動損失)のマイナス分も加わるので厄介ということになります。また、ガス代につても考慮されていません。

今回の例は、バイナンスアカデミーの説明をより日本語で分かりやすい形に変えてまとめました。参照記事はこちらです。

 




インパーマネントロスを活用する方法:変動損失のメリット

 

変動損失には利用すればメリットとなることもあります。インパーマネントロスを活用した希望の仮想通貨の量を増やす方法です。

ただし、これは儲けられるというわけではなく、あくまで「引き出した際のコインの枚数を増やす方法」ですので価値が増えるわけではなく、損失は発生していますので注意が必要です。

 

インパーマネントロスで目当ての仮想通貨を増やす方法

その方法は、価格下落をしているときに流動性を供給して引き出すと「目当ての仮想通貨の量」を増やすことができるという方法です。将来的な価格上昇を見込んで、こうした方法をとることが想定されます。

 

目当ての仮想通貨量を増やす方法

BNBが将来的に価格上昇することを見込んで、BNBの量を増やしたいとします。以下ではBNBの価格下落を例にして紹介します。

 

200ドル分を1BNB:100BUSDとして200ドル分のLPトークンを作ります。

1BNB + 100BUSD = 200ドル

 

1BNB:100BUSDのLPを提供した結果、流動性プールの合計が、10BNB:1000BUSDとなり、今回提供したLP提供割合が10%であったとします。

10BNB:1000BUSD = 2000ドル(全体)

      1BNB:100BUSD = 200ドル(提供割合10%)

 

ここでBNBの価格が下落して、1BNB:25BUSDとなったとします。

LPプールの合計は以下のように変動して合計価値を保ちます。

価格変動前10BNB:1000BUSD = 2000ドル

価格変動後20BNB:500BUSD  = 2000ドル

 

ここからLPトークンの提供割合10%をもとに引き出しを行ったとします。10%なので2BNB:50BUSDを引き出すことができます。BNBは1枚あたり25ドルに価格下落していますので、以下のとおりとなります。

 

LPトークンを提供した後に引き出した場合

2BNB=50ドル、50BUSD=50ドルなので合計100ドル

 

ガチホの場合

1BNB=25ドル、100BUSD=100ドルなので合計125ドル

 

上記の例では、インパーマネントロスとしてマイナス25ドルが発生していることになります。

 

しかし、保有している割合が変わっています。BNBは2枚に増えました。これでもし、BNBの価格上昇があれば嬉しい価格変化ととらえることができます。

結論:BNBが値下がりするときにBNB-ステーブルコインのLPトークンを利用してBNBの量を増やすことができる

以上がおすすめの活用方法となります。

 

本質的には、インパーマネントロスの活用というよりは、LP提供の割合が一定に保たれることを利用した方法ですが、インパーマネントロスといっしょに紹介させていただき、理解しやすいようにまとめました。

 




インパーマネントロス(変動損失)を避けるための対策方法

 

インパーマネントロス(変動損失)が起こるのは仮想通貨の価格が変化することで起きます。そして、損失が確定するのはLPトークンを引き出す時です。つまり、LPトークンを解除しなければインパーマネントロスを発生させないこともできます。

 

LPのシェア率と価格が損失を発生させるかの重要なポイントということですね。

 

そのため、価格変化の少ない「ステーブルコイン」を活用すれば変動損失を最小限にすることが可能です。

 

例えばBUSDとVAIの組み合わせです。VAIは、Venusで発行できるUSドルの価値と連動しているステーブルコインです。他にはDAIやUSDTも米ドルのステーブルコインです。

これらのペアは、価格変動率が低く、リスクも低いので利率は下がります。それでも普通の金融機関で投資商品を購入するよりも高い利率であることは間違いありません。

 

おすすめな利用方法

  1. 価格変動リスクのある仮想通貨で増やす
  2. BUSDやVAIなどに交換して利益確定
  3. BUSD-VAIのペアにして信頼しているDEXで運用放置

 

これで増やした元本をAPY(年利)10〜30%ほどで増やすことができます。当然プラットフォームの様々なリスクはありますが、DeFiで安全に運用するならこうした「ある意味手堅い手法」も理解しておくべきかと思います。

インデックス投資の平均的な運用利回りは、4〜5%と言われていますので、それでも倍以上のAPYです。

 

投資は自己責任でお願いいたします。




インパーマネントロス(変動損失)まとめ:変装損失を避ける目安

 

インパーマネントロス(変動損失)をかんたんに計算をしつつまとめてきました。

 

計算があったので、すこしややこしいと感じた方もいらっしゃると思います。ぼくも何回も読まなければ理解することができませんでした…。

この記事で理解の土台をつくって、自分で運用しながら理解していくのがベターだと思います。

 

ちなみに、もっと理解を深めたい方は、数学的にインパーマネントロスを考察している方がいますので非常に参考になります。

http://chocottokozukai.click/crypto-currency/impermanent-loss-consideration-3 より引用

 

 

http://chocottokozukai.click/crypto-currency/impermanent-loss-consideration-3 より引用

 

数学的な考察のポイントだけまとめておきます。

 

インパーマネントロスを考慮したLP解消すべきタイミング

  1. 一方の価値が1/4になるとLPの価値は半減する
  2. 一方の価値が数倍を超えるとインパーマネントロスが増大する

 

つまり、上記の2つのポイントを考えると一方の価格が上昇している、または下落しているタイミングならLPトークンを解消してしまった方が、インセンティブのトークンをもらえることよりも得策ということです。

 

流動性LPペアの鉄則は、「価格変動リスクが低いもの同士」を選ぶことが機会損失を減らすという意味ではおすすめです。

 

BUSDやUSDT、VAI、DAIといったステーブルコインを活用する方法が機会損失を最小限にできるということですね。

 

DeFi運営側が新興トークン同士のペアに数千%のAPYを設定するのは、インパーマネントロスが起こるリスクなどを考慮したインセンティブということを忘れずにいることが大切です。

 

高APYに目が眩み投資をするのは非常にリスクが高いという理由が理解できれば幸いです。

DeFiでのスキャムに注意することも大切です。こちらの記事でPancakeSwapのDNSハイジャックの事例を考察したり、代表的な仮想通貨や金融投資の詐欺手法についてまとめています。初心者の方は必ずおさえておきたいことだけをまとめました。

 

 

  • この記事を書いた人

ローレンス

クリプトに没頭している会社員です。暗号資産の儲け話よりも、テクノロジーに興味があり、ブログ、メルマガ、ポッドキャストなどでWeb3関連のトピックをやさしく解説しています。クリプトにまつわる情報はスピードが速く複雑ですが、Web3領域で活躍できる人材を目指して一緒に学習していきましょう。

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